K’s blog

日系SIer → 外資戦略コンサル → 日系電機メーカー → ロボットメーカー、というちょっと転職回数多めの筆者が、雑学・ビジネス・政治経済・趣味のマンガについて語るブログです。

137億年の物語⑧

子供が中学生か高校生になったら読ませたいと思ったおすすめ本

137億年の物語

の紹介の続き。最後です。

 


病気が世界を渡る。1850年にアメリカからブドウの寄生虫がヨーロッパに渡って蔓延し、大打撃。これに対抗するため、アメリカから抵抗力のあるブドウの苗を輸入。今ある世界中のワインはこの苗に接木したブドウから出来ている。

 


1776年 米国独立、1789年フランス革命(人権宣言)、1791年ハイチ反乱(1804年にフランスから独立。初の黒人共和国)。その後、コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン、メキシコ、グアテマラエルサルバドルホンジュラスニカラグアコスタリカ、ブラジルが1822迄に独立。

 


フランス革命後、内戦。その間、悪名高い恐怖政治も行われた。人道的な処刑道具、ギロチン使用(火あぶり、腸抜き、不慣れな処刑人に斧で何度も首を切られるのに比べればずっとマシ)。共和制に反対する思想と疑われるとすぐギロチン。18千人が「自由に対する罪」で処刑。自由主義の二つのグループで対立し、権力を握る度に双方を多数処刑。もーぐちゃぐちゃ。この混乱をクーデターでおさめたのがナポレオン。

 


ヨーロッパ列強の国王・貴族はフランスの様な革命だけは避けたかった。そして個人の自由をうまく使う方法を発見。フランス革命以後、「個人の自由」を掲げるだけで簡単に兵を集められる様に。徴兵制と国民軍の誕生。それ迄、軍隊の維持には大量の資金が必要。また、銃が生まれる前は長期の訓練も必要なため、軍隊は小規模だった。なお、国民軍という考えを取り入れたのはナポレオン。

(そーだよなー、結局まだあちこちで国王とか貴族って残ってるんだよね。上手いこと生き延びてる。」

 


フランスは戦費を得るため西半球の植民地を殆ど売った。

 


アメリカの独立でイギリスは犯罪者を奉公人として北米に送り込めなくなったため、オーストラリアに送るようになった。

 


数百万人のアフリカ人奴隷を抱えるアメリカは経済的に優位に立っており、最も高い値段をつける国に物資を売れた。

市場原理誕生。

 


この頃は白人至上主義。19世紀末の偉大な発明が全て白人によるものであること、脳の容積が大きいことなどから発達。白人以外を断種すればより良い社会になるという本「偉大な人種の消滅」が売れ、ヒトラーも読んだ。1870年代には人間動物園でエスキモーが野生動物と一緒に展示され、パリやマルセイユ万国博覧会でもアフリカ先住民400人を見世物にした黒人村を展示。

(アフリカ、アメリカ、オーストラリア先住民へのヨーロッパ人の悪逆非道をちゃんと客観的に記述してる。こーゆーのは欧米の教科書に載ってんのかな。)

 


19世紀のヨーロッパが得た富は、アジア、アフリカ、アメリカ、オーストラリアの先住民の犠牲によるもの。アフリカ諸国は20世紀後半にようやく独立するも、土地は痩せ、資源は持ち去られ、経済は借金で破綻。さらに植民地の境界で伝統的な民族・部族は分解され、それぞれがヨーロッパ製の銃で武装

 


中国もボロボロ。最初は自給自足可能で貿易拒否。そこでヨーロッパは阿片を売り付ける。中国がこれを締め出そうとしたら1840年阿片戦争で負けて香港譲渡と多額の賠償金。この時キリスト教の布教も認める。10年後、キリストの弟と名乗る農民が新興宗教を起こして清に反乱。南京を首都とする太平天国樹立1853年。清は英仏の助けを借りて10年で内戦鎮圧。更なる不平等条約と借金。この内戦は第一次世界大戦以上の2~3000万人の史上最悪の軍事紛争。弱った中国は日本にも負け、韓国、台湾、ベトナムカンボジアなどの支配を失っていく。そして1900年農民「義和団」が再び蜂起して北京を占拠し、キリスト教中国人を殺戮、外国人を人質に。これを連合国が制圧、その費用として巨額の支払いを清にさせる。これは農民に新たな重税を課さなければ支払えない程の額、その結果10年もたたず清は弱体化して革命が起こり、中華民国成立。しかしその後も統治は安定せず内戦と外国による侵略が続いた。この中、共産主義で国土荒廃を解決しようとする毛沢東が台頭。(ロシアの共産主義国家という助走の後)

 


ロシア

日露戦争で負け、一次大戦でドイツに攻め込まれ、皇帝の威信は落ちていた。急速な工業化で都市人口は増えたもののまだ暮らしは貧しいところ、インフレ、食料不足、経済崩壊があり、革命勃発。レーニンが新経済政策で農業と工業を立て直したが、後継者のスターリンはひたすら工業化&恐怖政治。農産物を国家の財産として没収したため数百万人が餓死。

 


トルコの父、ケマル・アタルチュクの話、面白い。正しい独裁者。明治維新を手本に改革。

 


今の世界経済は中国の安い労働力とアラブの石油に支えられている。資本主義は民主主義がなくとも実現可能。

 


マルクスの亡霊。資本主義の終焉。

マルサスの亡霊。人口増加と環境破壊。

 

 

 

自分用の読書メモを元にしたから読み難かったと思います。

でも、ここまで読書メモが大きくなったのはこの本だけなので、本当に良書です。

教養の補強・アップデートに最高の本だと思うので、是非読んでもらえればと。